輪郭RINKAKU

Approach

足りないのは、
デザインではありません。

いい商品なのに知られない。ロゴを直してもしっくりこない。このふたつがなぜ同じ原因から起きるのか、順を追って書いています。少し長いので、お時間のあるときに。

01

「知られていない」は、
たいてい量の問題ではない

ご相談で最初にうかがうのは、たいてい「知られていない」というお話です。ですから広告を出す。SNSを始める。展示会に出る。露出を増やす方向に手を打ちます。

それでも手応えが戻ってこないことがあります。見られてはいる。けれど問い合わせにはつながらない。

原因は量ではなく、見た人の頭に何も残らないことにあります。

たとえば金属加工の会社が、サイトに「高精度な加工技術で、お客様のご要望にお応えします」と書いているとします。まちがったことは何も書いていません。ただ、ほとんど同じ言葉が同業十社のサイトにも並んでいます。読んだ人には違いが分かりません。分からなければ、最後は価格で選ぶしかなくなります。

紹介が広がらないのも同じ理由です。人に勧めるには、勧める側が一言で言えなければいけません。「あそこ、いいよ」の続きが出てこない会社は、どれだけ満足されていても、そこで話が止まります。

露出が足りないのではなく、露出したときに残るものがない。この状態で量を増やしても、費用だけが積み上がります。

02

ロゴを直しても、
しっくりこないままなのはなぜか

もうひとつ、よくうかがうのが「ロゴを作り直したけれど、しっくりこない」というお話です。

出てきたものは悪くない。きれいだし、感じもいい。でも、これでいこうと言い切れない。何度か直してもらっても、同じところで止まってしまう。

これは、作った人の腕の問題ではないことがほとんどです。判断する基準がないから、決まらないのです。

デザインを選ぶときに必要なのは、良いか悪いかではなく、自分たちに合っているかどうかです。ところが、合わせる先が決まっていない。だから「なんとなく好き」でしか判断できません。社長と専務で意見が割れ、どちらも間違っていないので、いつまでも終わりません。

作る人を変えても、同じことが起きます。順番が逆になっているからです。

03

このふたつは、同じ問題です

「伝わらない」と「しっくりこない」は、別々の悩みに見えます。片方は外に向けた話で、片方は社内の話ですから。

けれど、原因は同じところにあります。自分たちが何者なのかが、言葉として決まっていない。

決まっていないから、伝える言葉が出てこない。決まっていないから、出てきたデザインの良し悪しを判断できない。症状がふたつに分かれて見えているだけで、根は一本です。

足りないのは、デザインではありません。
「何者か」が、まだ決まっていないだけです。

04

AIについて、
はっきり書いておきます

ここ数年で、かたちを出すことは驚くほど簡単になりました。ロゴの案が数分で百通り出てきます。実際、そうやって作ってみた方から、しっくりこないというご相談をいただきます。

百案あっても選べないのは、選ぶ基準がないからです。むしろ案が増えるほど、迷いは深くなります。

AIが悪いのではありません。その手前の工程が抜けているだけです。

わたしたちも、調べものや案出しにはAIを使います。道具として当たり前に使います。ただ、どれがあなたの会社なのかを決めるところには使いません。かたちを出すことと、決めること。これは別の仕事です。

05

だから、いちばん最初に決めます

ロゴやサイトより先に、言葉を決めるところから始めます。

経営者ご本人にお時間をいただきます。ご担当者様だけでは決まらないからです。ここは例外なくお願いしています。

うかがうのは、市場調査や競合分析より先に、過去のことです。創業のいきさつ。いちばん嬉しかった仕事。断った仕事と、その理由。

過去を聞くのは、懐かしむためではありません。強みは、たいてい自覚されていないからです。毎日当たり前にやっていることほど、本人には価値が見えません。外から見ると、それが他社にはできないことだったりします。

「うちには特に強みがない」とおっしゃる会社ほど、話していくと出てきます。とくに、断った仕事の理由には、その会社が何を大事にしているかがいちばんはっきり表れます。

出てきたものを、使える言葉にします。社内で口に出せて、外にも出せる短さまで削ります。長い理念は誰も覚えないので、覚えられる長さにします。

ここまでが済んでから、ロゴやサイトに入ります。決まってさえいれば、あとの工程は驚くほど速く進みます。

06

「言葉が決まる」とは、
どういう状態か

抽象的な話が続いたので、ひとつ例を挙げます。実在の会社ではなく、分かりやすくするために作った例です。

ある金属加工の町工場が、こう名乗っていたとします。

高精度な加工技術で、お客様のご要望にお応えします。

話を聞いていくと、この工場がいちばん喜ばれてきたのは、図面が仕上がっていない段階の相談でした。「こういうものを作りたいが、どう作ればいいか分からない」という電話に、社長が付き合ってきた。図面ができている案件は、正直よそでも作れます。

そこで、こう決めます。

図面のない相談から、受けます。

言葉が短くなっただけに見えて、決まったのはそこではありません。受けないものが決まったことのほうが大きい。

すると、その先の判断が全部つながります。営業に行く相手が変わります。サイトに載せる事例も、完成品の写真ではなく、相談から始まった案件の話に変わります。採用で探す人も、言われたとおりに作れる人ではなく、一緒に考えられる人になります。

一行決まるだけで、ここまで変わります。逆に、ここが決まっていないと、どれだけ手を打っても方向がばらけていきます。

07

決まると、何が変わるか

  • 価格だけで比べられにくくなります。違いが言葉になっていれば、比べる軸が価格以外にも生まれます。
  • 社内の判断が速くなります。デザインも文章も「合っているか」で決められるので、好き嫌いの議論が減ります。
  • 採用に効きます。何をしている会社かがはっきりしていれば、それに合う人が来ます。合わない人は来ません。どちらも大事です。
  • 発信が続きます。何を言えばいいか分かっているので、書くことに困らなくなります。

すぐに売上が伸びます、とは申し上げません。効いてくるまでには時間がかかります。ただ、決まっていない状態のまま打つ手は、たいてい積み上がらずに消えていきます。

08

なぜ、中小企業だけなのか

大きな会社のお仕事はお受けしていません。相性の問題です。

この仕事のいちばん大事な工程は、決めることです。決める人が多い組織では、決まるまでに時間がかかり、決まったものも角が取れて、当たりさわりのないところに落ち着きます。それでは意味がありません。

その点、中小企業には決められる人がいます。経営者と直接話して、その場で決めていける。この速さと思い切りのよさが、そのまま輪郭の濃さになります。

従業員五十名ほどまでの会社、あるいは本気の個人事業主の方。この規模がいちばん効きます。

「うちみたいな小さい会社には早い」とおっしゃる方がいます。むしろ逆だと思っています。人数が少ないうちのほうが決めやすく、決めたことも行き渡ります。大きくなってから変えるほうが、はるかに大変です。

09

わたしたちがしないこと

  • 流行の見た目に合わせること。数年で古くなるものを、会社の看板にはしません。
  • きれいな資料を作って終わりにすること。使われない戦略書に価値はありません。明日から使えるものだけをお渡しします。
  • 数を受けること。一社ごとに時間がかかるので、同時にお受けするのは二社までとしています。

ここまで読んで、思い当たるところがあれば、一度お話を聞かせてください。整理してからでなくて大丈夫です。はじめのご相談は無料です。

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